おもしろくて一気読みしてしまいました。
読みやすそうな歴史関連の本を探して
『生きづらい明治社会──不安と競争の時代〔電子書籍版〕』松沢裕作(岩波書店、2021)
同書は明治時代の歴史の流れを偉人ではなく、民衆に焦点を当てながら易しく解説してくれているので、何となくですが当時の生活がイメージできるようで、
明治時代を「今を生きる自分とは関係ないもの」ではなく、「今と地続きになっている自分と関係あるもの」と認識できたように思う。
年号を追いかけるような歴史の勉強には抵抗感がありますが、当時の人々の生活について知ることは興味深いと感じることに気づきました。
歴史関連の読み物、わたしには狭く深い内容のものが適しているのかもしれません。
「通俗道徳」と「公正世界仮説」
明治時代に支配的だった価値観として「通俗道徳」というものが同書で取り上げられています。
同書の解説を読む限りではまんま公正世界仮説ですね。
ざっくりいうと、成果と努力の量は比例する、という価値観・考え方。
現在の日本でも公正世界仮説的な価値観の人が割と多いのは、明治以来のDNAだったんですね…。
日比谷焼打事件などの暴動と通俗道徳の関係性は、現代のテロルの裏にある公正世界仮説的な価値観と構造が似ている。
また「宵越しのカネは持たない」みたいな考え方も単なるルサンチマンを解消するための価値判断の転倒だったと知り、わたしが持っていてた豪気なイメージがガラリと変わってしまいました。
もらってばかりなので…
同書では多くの紙数を貧困についてに割いていますが、わたしがもっとも関心を持ったのがセーフティネットについて。
現在でいうと生活保護・国民皆保険などをはじめとした社会保障ですが、明治時代は財政の問題で貧弱だったというのを知って、心底今の時代に生まれてよかったと思いました。
というか、歴史を知れば知るほど「現代に生まれたこと」に感謝してる気がする。
歴史を通して現在を見ることで、それまでと見え方が変わっていくような。
話を戻して社会保障についてですが、わたしの場合、生まれてから現在まで社会保障で支えられっぱなしの状態。
ですので、人生を終えるときには支えた分のほうが多くなっていたい。
そう考えると、納める税金の痛みの感じ方も変わるのではないだろうか(もうすぐ確定申告の時期だし)。
社会保障に限らず、現在のわたしは他人に与えたモノよりも受け取っているモノのほうが遥かに多い。
こちらについても命燃え尽きるまでに収支を逆転させたい。
Thanks🐟
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