【衣笠作品の魅力とは?】『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編』8巻もおもしろかった!

ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編8

次巻が気になる!!

よう実2年生編8巻の感想

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編8』衣笠彰梧(著/文)、トモセシュンサク(イラスト)(KADOKAWA、2022)

本巻はまるまる修学旅行のお話となっていて、今後のストーリーの伏線をいたるところに張りまくっていましたね。

大きく物語が動いたわけではないのですが、以降のストーリーで、もっというと次の特別試験でキーになりそうな登場人物にそれぞれスポットライトが当てられていた印象🔦

長らく周囲に大きな動きを見せていなかった主人公も次の特別試験、もしくはその直後に大きな動きを見せるような雰囲気を残していて、

めちゃくちゃ続きが気になるぞ!

軽井沢をいつ突き放すのか、いつクラス移動を試みるのか、

そして、南雲さんの見せ場はまだあるのか!?

よう実の主人公・綾小路清隆の魅力と衣笠作品

よう実シリーズを読んでいると、いつも衣笠彰梧&トモセシュンサクのタッグで生み出された他作品を思い出します。

特に思い出すのが、『暁の護衛』シリーズです。

衣笠作品の主人公はみんな根っこの部分が似ているのですが、

特によう実の主人公・綾小路清隆(以後、清隆)と暁の護衛の主人公・朝霧海斗(以後、海斗)は

作品上での主人公とその他の登場人物との関係性が似ているように思います。

暁の護衛シリーズ主人公・海斗について

暁の護衛シリーズの舞台は超格差社会となった日本。

そこでは貧富の格差が広がりすぎて、臭いものに蓋、を人間に対してやってしまったんですね。

開発が放棄された土地に形成されたスラム街はいつしか『禁止区域』と呼ばれる無法地帯になります。

主人公・海斗は『禁止区域』で育ちましたが、とある因縁から資産家のボディーガード育成の学校に入ることになるところから物語が始まります。

登場人物のほとんどが資産家、そんな中で主人公の海斗だけが戸籍も持たないスラムの出身。

資産家の登場人物が持っているモノを主人公は何も持っていないが、資産家が持っていないモノを主人公だけが持っている。

よう実シリーズ主人公・清隆について

主人公・清隆は、普通の高校生なら持っているモノを何ひとつ持たない。

でも、普通の高校生が持っていないモノならほとんど全てを持っている。

両シリーズの主人公に共通する魅力

両シリーズの主人公、海斗と清隆に共通する魅力は上でも取り上げたように、

他の登場人物と性質が正反対であること

だと考えています。

両主人公の生い立ちと、作品内のその他のメインキャラクターたちのそれまでの人生とを比べてみると、

キレイに真逆になっているのわかります。

暁の護衛では、超危険なスラムでも一目置かれるヤバいヤツと資産家のお嬢様。

よう実では、普通の家庭で育った高校生と外界から隔離されて英才教育を受けた中でも更に唯一の成功例。

主人公が高校生らしくないのが良い!

主人公とその他の登場人物に大きなギャップを持たせることによって出ている魅力以外にも、

よう実主人公・清隆が魅力的だと思うポイントは、

清隆の一人称の文(清隆の思考)に設定との矛盾がなく、

清隆の思考・価値観にリアリティを感じるところです。

物語の序盤で清隆自身も言及していますが、彼は一般常識や人間的な不合理な感情などに触れる機会が与えられなかったため、

それらに関して自身には大きな欠陥があること認めています。

作品の大半を占める地の文は、清隆の思考を表すものとなっていますが、

その思考が本当に設定通りというか、常識や感情が欠落した人間の思考っぽいんですよね。

そういう部分が繊細に描かれていて、わたしは好きです😄

物語が進むにつれて、清隆の価値観・思考様式が少しずつ変化しつつあり、成長を感じるんですよね。

よう実の設定に現在の日本の教育についての問題提起を感じる?

毎回よう実を読んでいて思うのが、

別にAクラスになっても大して意味ないじゃん😅

という身も蓋もないこと。

そもそも、学校の特権で好きな進路に進めても、その進路先で活躍できる保証はないし、

Aクラスの特権での大学進学の場合も、入ってから何を学ぶか、がその後の人生を左右するのだから、

結局、Aクラス卒業に意味ないのではないかと思ってしまう。

そう考えると、小説のように生徒同士を多面的に競わせることで、

総合的な力を磨いたり、自分の好きなこと・得意なことを発見・認識させることこそが最も重要なのではないかと考えさせられます。

これはある意味、現在の日本の教育制度への問題提起なのでは?と感じる部分も。

著者が意図しているかはわからないけれど。

Thank you for reading🐟

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